保育園で看護師をはじめて色々な場面でおう吐した現場をみてきました。
食事中であったり、吐物を他の園児が踏んであちこちに吐物が…
そのたびにとても大変で疲れていました。
どんな時に保護者さんにお迎えだったり、病院受診を勧めたらよいかも悩んでいました。
入職前にノロウイルスが流行したと聞いていたので、プレッシャーも…
今ではおう吐処理のマニュアル化も出来たのでかなり楽になっていますが、保育現場で「おう吐した!」の連絡が入ると今だに緊張します。
緊急性のあるおう吐だったり、感染症の原因となるおう吐だったりと急いで適切に処理しないと行けないからです。
だいたいが咳き込んだ時にチョロ!
食後にお腹を圧迫してゲロ!など
明らかに原因がわかるものは安心しますが、頭を打った・熱中症・下痢と一緒におう吐は救急車を要請することもあり、しっかりと判断しなければなりません。
保育園など集団生活する場面ではおう吐に対して2つの事を考えないといけません
- 子どもの体調とケア
- 感染症を広げない為のおう吐処理の方法
今回は子どものケアを中心に、お迎えや登園に関しての目安をお伝えしたいと思います。
『保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂)・p74』を参考に、実際の現場の事もお伝えします。
この記事を読んだ後のあなたは…
- 危険なおう吐とそうでないおう吐の見分け方がわかります
- 保護者さんにお迎えを依頼するタイミングがわかります
- おう吐した患者のケアの方法がわかります
あなたが医務室にいて「子どもが吐きました」の連絡を受けた。または自宅で子どもがいきなり吐いた状況に沿って順番に見ていきたいと思います。
今回は子どものケアに注目してみていきます。
実際は同時並行でおう吐物の処理を行っていきます。
至急受診が必要な『おう吐』
子どもの元に駆けつけてすることは
おう吐した原因を探ります。
《チェックリスト》
- 最近頭を打たなかったか?意識がぼんやりしてないか?
- 熱中症の可能性は?(胃の機能が低下しているので口から水分を取らせない=病院で点滴)
- 血液やコーヒー様の吐物(胃酸にさらされている時間が長い場合)
- 元気がなく、ぐったりしていないか?
- おう吐の回数が多く、顔色が悪くないか?
- おう吐の他に、複数回の下痢、血液の混じった便、発熱、腹痛等の症状はないか?
- 脱水症状(唇・舌の乾燥、おしっこが半日以上出てない、目がくぼんでいる、水分が取れない等)は?
これらは明らかに危険な信号なので、迷わず救急車を要請しましょう。
ガイドラインでも至急受診が必要となっていますのでためらう必要はないです。
またケガ・病気全般に言えることですが、判断に迷ったら救急車を呼びましょう。
熱中症の場合は詳しく説明していますので、こちらの記事も御覧ください。
ケア
回復体位(吐物で窒息しないよう)を体勢って救急車を待ちます。
しっかりと観察・記録(時間と症状)を書き救急隊につたえます。
保護者さんにお迎えを依頼する・病院受診する『おう吐』
至急受診が必要な状況は誰が見てもヤバいと感じるので、即座に行動出来ると思います。
緊急性が無いと判断したら、お家で保育してもらう、又は病院に連れて行くかの判断をしていきます。
ここでしっかりと観察し判断をしていかなければなりません。
《チェックリスト》
- 複数回のおう吐があり、水分を飲んでも吐くか?
- 腹痛はあるか?
- 一緒に下痢はしていないか?
- 元気がなく機嫌・顔色は悪くないか?
- 吐き気が止まらない
これらの症状があるならすぐに連絡、又は病院に連れていきましょう。
複数回のおう吐の”複数”は曖昧にならないように園でルールを決めて、保護者さんにも事前にお伝えできればいいですね。
僕の園では2回を基準にしています。
1回目のおう吐で元気な状況でも連絡だけ入れるようにしています。
2回目吐いた時のお迎えの準備をしてもらうことや、食事があるなら食べさせて良いかの判断を仰いだりする意味があります。
回数を決めていると現場のスタッフも判断しやすくなります。
ケア
医務室など別室に連れていき他の園児とわけて様子を観察していきます。
0歳児さんや医務室や保育園看護師など特定の大人に慣れていない園児さんの場合、別室の保育を嫌がるなど難しい場合もあります。
そんな時はオモチャでなんとか安静に過ごしてもらって下さい!(^_^;)
医務室の環境作りは下記を参考にしてみて下さい。
おう吐する前提で医務室にはビニール袋を敷いたりしています。
45リットルサイズのゴミ袋を切って開いて使うと、そのまま捨てれるので使い勝手がいいです。
別室に入る前にできるだけ『うがい・手洗い』をしてもらいます。
うがいが難し人は口をぬぐいます。(ぬぐった吐物も感染物として扱います)
体温・排便状況・お腹の張り・食べた物(アレルギーは?)・元気や機嫌・吐く前にどんな活動してた?など観察します。
30分〜60分後に少しずつ水分(理想は経口補水液)をとってもらいます。
再び吐き気や吐くなどの症状が出ないか見ながら慎重に水分摂取します。
横になりたい場合は必ず横に向けて寝てもらいます。
仰向けで寝ると再度吐いた時に窒息の危険があるためです。
背中側に枕など入れると楽に横向きで寝ることができます。
近くの大人は必ずしっかり呼吸できているか常に観察しましょう。
特に0歳児さんはしっかりと見ます。
記録も書いておきましょう。
吐いた物が肺の方に入っていると、肺炎などの可能性もあります。
おう吐後の発熱にも注意しておきましょう
登園前や登園時に保護者からおう吐があった事を聞いた場合の対応
以下の場合は登園を控えてもらうようにお伝えします。
- 24時間以内に複数回のおう吐がある
- おう吐と同時に体温がいつもより高いなどの症状がみられ
- 食欲がなく、水分も欲しがらない、機嫌が悪く元気がない、顔色が悪くぐったりしているなどの症状がみられる
ガイドラインにも書かれている内容なので保護者さんにも伝えやすいです。
保育現場でよくあること
おう吐した園児さんのほとんどが、1回のおう吐でスッキリし元気になる場合や食後すぐに腹部を圧迫した場合、咳き込みと同時におう吐する場合がほとんどです。
都合の良い方に考えがちですが、吐いてスッキリしたようであっても吐物の中には感染症のノロウイルスなどが潜んでいるかも知れません。
園ではほとんどの場合、感染防止の為のガウンを着たり、他の園児の避難などとても大変ですが行っています。
感染性の吐物かどうか見分けれる装置があれば良いのですが…
また吐き気をギリギリまで我慢してしまう園児さんがいます。
気持ち悪い(悪心)を訴えれず、無理して「大丈夫」と言ったりして、急に吐いたりしたこともあります。
我慢させないような声掛けや、移動するなど体勢が変わる時はビニール袋を準備し、いつでも吐いて良い体制をとることもポイントです。
アクションプラン
『保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂)』で検索して、74ページをダウンロードして下さい。
おう吐時に見返すと、まとまっているのでとても役に立ちます。
最後まで読んで頂き本当にありがとうございます。
『おう吐処理編』も読んで頂けたらと思います。
今回の内容がわかりにくかった時は動画でも解説しています!
医務室の環境作りの動画も参考にしてみて下さい。
熱中症の応急処置についての動画もあります。
コメント