夏の熱中症対策しなければと思いつつもなにから手をつけていいのかわからない…
2021年から政府の新たな熱中症対策があると聞いたけどどう言うこと?
私も初め全然わからなかったのですが2019年から保育園の熱中症対策に携わり、試行錯誤を重ねてきました。
2020年には熱中症対策アドバイザーの資格を取り最新の情報をわかりやすくお伝えし、疑問の解決をしたいと思います。
総務省の資料によると毎年約65000人が救急搬送され1000人以上の方が亡くなっています。
ほとんどが高齢者ですが乳幼児も残念ながら数名亡くなっています。
熱中症は防げる病気です。
現場の職員でしっかり子どもの命を守り、かつ自分や高齢のご家族の為にも今回の内容を持ち帰って頂けたらとお思います。
今回の内容を読んでいただけるとこうなります。
- 熱中症についてわかるようになります
- 特徴から子どもは過酷な環境にいることがわかります
- 暑さ指数【WBGT】の理解と活用についてわかります
熱中症
なぜなるの?

熱中症とは体温の上昇と下げる機能(調整機能)のバランスが崩れ、ドンドン身体に熱が溜り様々な症状が出ることを言います。
原因は3つ
- 《環境》気温湿度が高い・風が弱い・急に暑くなったなど
- 《からだ》高齢こども肥満の方・寝不足・脱水状態など
- 《行動》長時間の屋外・激しい運動・慣れない運動など

高温環境下に長時間いた時、またいた後の体調不良はすべて熱中症の可能性があります。
4つの病気の型
【熱失神】は暑い中で立っていて、めまいや一瞬気が失って倒れる『失神』を起こすことです。
【熱けいれん】は暑い中で汗をかいて活動をし、足がつったり筋肉がけいれんを起こすことです。
【熱疲労】は暑い中で活動していて、たくさん汗をかいて脱水になり、その結果重要臓器への血流量が足りなくなります。
集中力や判断力の低下、脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気などを起こします。
熱疲労になったときには、熱けいれんも一緒に起こることが多くあります。
【熱失神、熱けいれん、熱疲労】は一般的には命の危険はありません。
病院で点滴などをすれば入院することは通常ありません。
【熱疲労】に気づかずにもっとがんばり続けて脱水が進むと体温調節ができなくなっていき、急激に高体温にバランスが崩れてしまいます。
これが【熱射病】です。

体温が異常に上昇して特に脳の温度が40℃を超えると、脳に麻酔がかかったような状態になって意識がなくなり、汗もかけなくなりおかしくなってしまった状態になります。
一旦こうなると、救急隊がすぐに来てくれて医療機関も迅速で適切な治療をしたとしても、助からない場合がでてきてしまいます。
その理由は、多くの臓器の機能停止やDICと呼ばれる出血傾向を起こしてしまい、この治療が難しいためです。
熱失神・熱けいれんを【Ⅰ度】、熱疲労を【Ⅱ度】、熱射病を【Ⅲ度】と表現することもあります。(2000年から日本救急学会で使われている指標です)
子どもは過酷な環境にいる
子どもの特徴を見るととても過酷な環境にいる事がわかります。

《5つの理由》
①地面からの照り返し(輻射熱/ふくしゃねつ)の影響を受けやすいです。
気温をそれぞれの高さで測定すると、150cmで32℃、50cmで35℃と3℃も違います。
②自分で予防する能力が乏しい。
適切な水分補給のタイミングがわからないなど。
③体表面積が大きい関係で外からの熱を吸収しやすく、逆に放出しやすいです。
熱しやすく冷めやすい体質。
④子どもは汗っかきだと勘違いされるが、実は大人と比べると汗の量は少ないです。
汗を出す機能がまだ未熟なため大人のように上手に汗をかいて体温を下げることができません。
その代わり皮ふ表面の血管を広げ、血流量をアップさせ皮ふから熱を放出しています。
真夏の子どものイメージはどんなのでしょうか?
顔が真っ赤な子どもではないですか?

⑤外の気温が皮膚表面の温度より高くなると、皮ふの血管を広げる方法で熱を出すことが難しくなります。
以上5つのことから子どもは大人よりも過酷な状態にいることがわかります。
子ども目線の対策が必要になります。
暑さ指数【WBGT】の活用
運動時間・強度の目安を決める

熱中症を予防する為に暑い危険な時は外に出なければ良いのですが「いつが危ないの?」と疑問が生まれます。
そこで役に立つのが『暑さ指数(WBGT)』です。
この数値は熱中症に関連する、気温、湿度、日射・輻射(地面からの照り返しなど)、風の要素を計算し熱中症の危険度を目に見える数値で表したものです。
運動や生活活動の目安を示してくれます。
同じ気温の日でも雨上がりの後では湿度が加算されるため数値が高くなったりします。
数値の〇〇℃などは気温と同じではないです。
園では上記の『暑さ指数を用いた指針』を確認しやすい所に貼っています。
園で応用する一例として…
31℃以上は運動を中止する。
28℃以上〜31℃未満は20分の運動を休憩をはさみ2回まで行う。
25℃以上〜28℃未満は30分の運動を休憩をはさみ3回まで行う。
21℃以上〜25℃未満は30分の運動を休憩をはさみ何回でも行う。
それぞれの園やご家庭で『暑さ指数を用いた指針』を目安にルールを作るといいです。
特に指数28℃を超えた所から急に熱中症のリスクが上がるので要注意です。
子どもを含む園で過ごす人と『暑さ指数』を共有するために、表と同じ色の旗を園庭にかけて確認してもらったりしています。
暑さ指数を調べる方法

環境省の熱中症予防サイトで全国の観測地点の『暑さ指数』が見れます。
お天気アプリなどでも確認できますので便利です。
より詳細に現場の数値を測るためには測定器を買うのがオススメです。
『暑さ指数』はかなり環境の影響を受けるため、サイトで発表している数値とひらきがある場合が多々あります。
あくまで目安としてみてください。

測定器を購入した場合
測定方法は地面から1,1mの高さで直射日光が当たる場所で10分後の値を測定する。
近くに壁等がない場所を選ぶこともポイントです。
高さのある鉄棒などにぶら下げたり、三脚に乗せて測定したりします。
朝礼台などの上に置いて測定すると地面からの照り返しが伝わらなかったり、朝礼台自体の熱が伝わったりと正確に測定できないので注意が必要です。
熱中症警戒アラート

2021年の4月から新しい取り組みが行われます。
それは『熱中症警戒アラート』と呼ばれ各種メディアなどを通して熱中症の危険度が高い時に発令されるものです。
『暑さ指数』33℃以上の場合となっています。
LINEでの登録をすると通知が来るので便利です。(上記のQRコードは使用できます)
余談ですが毎年7月を熱中症強化月間としていました。
年々増加する救急搬送患者や亡くなる方に対応するため2021年から新たな取り組みとして…
- 4月~6月は暑さになれる・エアコンの早期点検。
- 7月は梅雨明けに特に熱中症のリスクが高いことを国民へ注意喚起。
- 8月は全般的な熱中症対策を呼びかけ。
- 9月は残暑や災害時における熱中症の注意喚起をする。など
国としても危機感が高くかなり対策を強化しています。
まとめ
熱中症は体温の上昇と下げる動きのバランスが崩れ、ドンドン身体に熱が溜り様々な症状がでる。
3つの原因
《環境》気温湿度が高い・風が弱い・急に暑くなったなど
《からだ》高齢こども肥満の方・寝不足・脱水状態など
《行動》長時間の屋外・激しい運動・慣れない運動など
高温環境下に長時間いた時、またいた後の体調不良はすべて熱中症の可能性がある
4つの病型
【Ⅰ度】①熱失神②熱けいれん、【Ⅱ度】③熱疲労、【Ⅲ度】④熱射病
熱射病は命の危険があるため特に注意が必要。
子どもの特徴
- 地面からの熱の影響を受けやすい
- 自分で予防する能力が乏しい
- 熱しやすく冷めやすい
- 汗を出す機能が未熟で、その代わり皮膚から熱を放出している
- 外の気温が皮膚表面の温度より高くなるとこの方法で熱を出すことが難しくなる
暑さ指数【WBGT】の活用。28℃以上は特に注意
アクションプラン

①『暑さ指数を用いた指針』の表を準備する
環境省熱中症予防情報サイトからダウンロードできます。(下記リンクです)
https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/heatillness_leaflet_wbgtmeter.pdf
②可能なら暑さ指数(WBGT) 測定器を購入する
測定器は3,000円ほどで買えるので、園長先生に交渉してみいて下さい。
動画でも解説しています。
最後まで読んで頂き本当にありがとうございます。

コメント