保育園で元気に駆け回る子どもを見ているとこちらも元気になりますし、コケてわずかに擦りむいた足を見て泣く姿も可愛く思ってしまいます。
小さなケガなら問題ないのですが、変なコケ方をしたり頭をぶつけることも日常茶飯事。時に骨折などの大きな怪我もありヒヤッとする場面もあります。
そこで今回は保育園看護師の方や目指している方、保育士さん向けにどんなケガにも応用できる、応急処置の方法をお伝えします。
この記事を読んだ後は適切な応急処置の方法ができるようになっています。
保育園で使いやすいように経験も含め説明させて頂きます。難しくないので気楽に読んで下さい。
結論!RICE処置をマスターしましょう
タイトルにもあるようにあまり聞き馴染みのないワードですが、スポーツ外傷の現場でよく使われています。
《Rest Icing Compression Elevation》の頭文字をとって覚えやすくした“ライス処置”というものです。
ケガしてから病院までに適切な応急処置ができると、その後の回復が早くなります。
逆に言えば不適切な応急処置だと回復を遅らせてしまうので、現場(保育園)での対応が大事になってきます。
どんなケガにも応用できる知識なので、保育園で起こる予想できないケガにも対応できれば日々の不安も解消できます。
注意点もあるので一つ一つ見ていきましょう。
またRICE処置の考え方は家族や自分誰にでも当てはまるので、生活の知恵としても役立ててもらいたいです。
【Rest】安静
ケガした所の腫れや血管・神経の損傷を防ぐために動かさない様にします。
捻挫した時にグルグル足首を回してストレッチしたり、突き指に対して指を伸ばしたりした経験はありませんか?
適切な処置は動かさないことですが、日常生活で動かさないのは難しいです。
そこで副子(シーネ)などを使って動けなくします。いくら動かさない様に気をつけていても動きますし、固定すると痛みも和らぎます。
その他座ってもらうだけでも安静になります。
子どもにじっとしてもらうことは至難の技ですが、状況をみて医務室で静かに遊んでもらったりしています。
園医さんから頭を強くぶつけ何も症状が出ていない場合は最低2時間は安静にし注意深く様子をみた方がよいと指導があったので実践しています。
【Icing】冷却
氷で冷やすことでケガした所の低酸素による障害で細胞が死んでしまうのを防いだり、腫れを抑える為の処置です。
ポイントは15分ごとに冷やすのを止めて、また痛みが出てきたら冷やします。
氷のうを作る時はたくさんの氷に必ず少しの水を入れて空気を抜きます。
理由は氷だけの場合凍傷の危険があるのと、空気が入ったままだとケガした所に氷が当たらないことがある為です。
病院の氷枕を作る方法と同じですね。
子どもたちは氷のうを渡すと喜んでくれるのですが、しっかりと冷やせるかは個人差があります。
10秒で飽きる人もいます。しっかりと冷やしたい場合は大人が支えています。
1度自身で頭などに氷のうを使ってもらうとわかるのですが、結構苦痛を伴います。
数をカウントしてみたり、オモチャを渡してみたりと気を紛らわしながら、氷のうをつけたり離したりしてできる限り冷やしています。
嫌がる子どもはなかなか難しいです。
アイシングすると一時的に痛みが和らぐのですぐに走り回ったりします。悪化させない為にも安静に出来るように促していきます。
ちなみに園では氷のうもあるのですが、簡易的な氷のうを作ることが多いです。
作り方は画像のように
- ビニール袋に氷6個ほどと水を少々入れ空気を抜いて団子結びする
- 氷の部分にティッシュを巻いく
- 結び目をひっくり返して氷とティッシュを一緒にを包んでもう一度団子結びをする
良い点として使用後はそのまま捨てることができるので、氷のうを乾かしたりと管理の手間が省ける。
帰宅前にケガした場合そのままお持ち帰り用に出来る事です。
市販の安い氷のうは水が漏れやすいですし、この氷のうだとあまりコストもかからないです。
ティッシュはケガの所になるべく直接氷を当てない為にしています。
【Compression】圧迫
ケガした所を外側から圧力をかけることで止血効果を発揮し出血や内出血を抑えます。
また過度に腫れ悪化させるなどの炎症の抑制にも有効です。
方法は伸びる弾性包帯などを使用して、軽く圧力をかけながら巻いていきます。
心臓から遠い部位から弾性包帯をびよーんと伸ばしながら巻き始めます。
包帯を伸ばしきった状態で巻くのは強すぎるので、軽く伸びた状態で巻いていきます。
締めすぎると血流が悪くなるので注意が必要です。
キツすぎないかの確認や指先・足先のシビレが出てないか、変色してないか継続してみないといけないです。
骨折の際は専門家の判断が必要です。変形しているや異常に痛がるなど骨折を疑う場合は圧迫しないようにしましょう。
ズレた骨を圧迫することで変に戻り逆に神経など損傷させてしまうからです。
足首の捻挫には活用しやすいと思います。
【Elevation】挙上
心臓より高い位置にケガした所を上げることで血の流れが遅くなり、腫れを防いだり軽減します。
痛みをかなり和らげてくれます。
子どもの場合は体が小さいので、毛布などを下に入れるだけで簡単にあげる事ができます。
ポイントは無理に上げず可能な範囲でもちあげます。
画像は膝より下の部分をケガした時の挙上方法です。足のムクミを取る時にも有効です。
注意点
どんなケガにも応用できると言ったのですが、意識消失している・痙攣している・頸部や背部の損傷などはむやみに動かさず救急車をすぐに呼びます。
呼吸が無いとなれば先に心肺蘇生法が優先となります。
大量の出血や脱臼・骨折は応急処置の方法が変わるのでそのままRICE処置をしないようにします。考え方は参考にできます。
まとめ・アクションプラン
- RICE処置はダメージを最小限に抑えるための応急処置
- 不適切な処置をしてしまうと復帰までに時間がかかってしまう
- 現場で正しい応急処置が出来ることが必要になる
- 安静(Rest)→冷却(Icing)→圧迫(Compression)→挙上(Elevation)の順番で処置する
園では本当に様々なケガが起こります。
捻挫、突き指、指はさみ、打撲、擦り傷など、さらに部位も様々あり臨機応変に対応しないといけないです。
必ず『RICE処置全てする』の意味ではなく、重症度を見て出来る範囲で使っていきましょう。
- 安静ではとにかく動かさない。副子などを利用して固定したり座らせる
- 冷却では方法として15分毎に冷やすのを止めてまた痛みが出てきたら冷やす。また氷のうを作る時はたくさんの氷に必ず少しの水を入れ空気を抜く
- 圧迫では軽く圧力をかけ弾性包帯などを巻く。きつ過ぎないかや指先のシビレや色を見る
- 挙上では心臓より高い位置に上げると炎症を軽減でき痛みがやわらぐ
アクションプラン
自分・家族・園児のケガに対しRICE処置のうち1つ使ってみて下さい
日常でも小指をぶつけることもあれば、保育園では毎日100%何かしらの怪我が発生します。
ちょっとしたケガならあまり処置は必要ないですが、たまに大きな怪我をします。
そんな時の応急処置が後の回復に影響するのでRICE処置を基本とする手当が必要です。
しかしRICE処置の練習をしていないといざとなった時に使えません。
幸運にも保育園で過ごしていると嫌というほどケガをします。
子どもに胸を借りるつもりでRICE処置を実践していきましょう。
ケガの処置に対する方法はこの先も変わらないと思います。
自然とRICE処置の考えができるとこの先どんなケガが来ても対応できるようになります。
動画にもまとめていますので良かったらそちらも観て頂ければと思います。
最後までよんで頂きありがとうございます。
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