保育園看護師をされている方や目指している方、保育士さんや乳幼児を持つ保護者の方にぜひ知ってほしい内容となっています。
予防できる可能性のあるアレルギーについて、具体的な方法を根拠を示しておつたえします。
今回の内容も《保育園看護師への道STEP5》と同じで、2021年に開催されました厚生労働省主催のアレルギー研修に参加した内容をまとめたものになります。
それでは早速。今回の内容でこう変わります。
乳幼児のアレルギーを予防する行動がとれるようになります。
アレルギーマーチ
アレルギーマーチって何?
アレルギーを予防する上で大切な考えが下の図です。
遺伝的にアレルギーになりやすい人が、 年齢をとるごとにアレルギー性疾患を次から次へと発症してくる様子を表しています。
具体的には木の幹の部分で食物アレルギーがある場合、枝へと成長するにつれその他のアレルギーも発症しやすくなります。
一つの疾患だけの人もいますが、多くの場合こうした経過をたどります。
各アレルギーは独立しているのではなく、連鎖し相互に関わり合っています。
図に感作とありますが、それは抗体が作られた状態を表します。(抗体については【STEP5】で詳しく見ています)
アトピー性皮膚炎に矢印→が向いている事に注目してください。今回の内容のポイントになります。また後ほどご説明します。
ここで重要なことはIgE抗体が新たに作られたことです。
いきなりですがここで問題です。
サーファーに多いのは何アレルギーですか?
正解は納豆アレルギー
理由はクラゲに刺されるこで、抗体が作られてしまい、納豆をクラゲ毒として体が反応してしまうからです。頻繁に刺されることが原因です。
ではパン屋さんに多いのは何アレルギーですか?
小麦アレルギー
理由は口から小麦が入るのは問題ないのですが、侵入経路が皮からの場合抗体が作られてしまうことがあります。
これも一度や2度皮膚についただけでは起こりません。日常的に皮膚から侵入することが原因です。
2つの問題に共通することわかりますか?
この問題に大きく関わるのが…
皮膚からのアレルギー原因物の侵入です。大事なポイントになります
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎って何?
- 皮フにかゆみのある湿疹が出たり治ったりを繰り返す疾患。
- 3~6ヶ月続く症状。
- 顔・首・肘の内側・膝の裏に症状が出やすくジュクジュクしたり硬く厚い皮フとなって変色する。
診断された園児が多くいますが、血が滲むほどかきむしったりと、園児自身ではどうしようもないので本当に辛くなります。
この疾患の最も厄介なのは…
ボロボロの皮フから簡単にアレルギー物質が入ってしまい、新しい抗体(IgE)を作ってしまうこと
そして新たなアレルギーを発症する。
アレルギーマーチ(はじめの図)の感作(抗体を作る)につながります。サーファーやパン屋の事例と同じです。
代表的な発症するアレルギーは
- 1歳~3歳頃に気管支ぜん息
- 学童期以降にアレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎や成人ぜんそく
これらの発症リスクを高めてしまいます
アトピー性皮膚炎の悪循環。これも見逃せないポイントです。
図のようにどこかで手を打たないと延々と状態が悪化していきます。
散々怖いことを言いましたがどうすればいいの?
答えは人が持つ最強のバリア機能皮フを鎧に変えます。
スキンケア
美容に気をつけられている人はよく知っていると思いますがスキンケアの基礎は…
【清潔(洗浄)方法】
- 汚れは速やかに落とす
- 汗をかいた時は放置せず、すすいだり、濡れたタオルで拭く
- 体を洗う時は、石鹸を泡立てて手のひらで優しく洗う。また十分にすすぐ
- ぬるめのお湯はかゆみを楽にする。(皮膚炎がある人は熱いお湯で一時的にかゆみを和らげようとしますが、逆効果になります)
【保湿方法】
- 保湿剤を準備
- 皮フを洗浄後できるだけ早めに保湿剤をぬる
- 1日1~3回ぬる
- 擦り込まず、たっぷりと乗せるように手のひらで優しくぬる
園医さんに聞いたところ保湿剤は市販のワセリンでもよいようです。しかし炎症が強い場合は受診し保湿剤を処方してもらいましょう。効率よく治せます。
炎症部位の皮フは凸凹しており、擦り込むことで肝心の凸の部分に薬が充分に塗れません。
スポンジケーキに生クリームを乗せる様に塗ります。塗ったところが少しテカテカ光るくらいが目安です。
日々スキンケアを行うとなると本当に大変になります。
園で出来ることも限りがあり、保護者の方の力を借りなければ解決しない問題です。
保育園看護師としてスキンケアの重要性を伝えていくことからはじめるのが良いと思います。
保健だよりに載せたり、アトピー肌の子どもの保護者に直接伝えたりしています。日々忙しい生活の中で本当に大変な事を理解した上で伝えることがポイントだと思います。
スキンケアの詳しくてわかりやすい動画が独立行政法人環境再生保全機構より出ていましたので是非見てください。
まとめ
アレルギーマーチでは様々なアレルギーは連鎖していて、皮フからの異物・原因物質の侵入により新たな抗体が作られアレルギーを発症すること。
アトピー性皮膚炎では、ボロボロの皮フの状態では異物・原因物質が侵入しやすい状態で新たなアレルギーを発症してしまうこと。
悪循環におちいると自然と良くなる見込みはなくなります。そこで皮フを鎧に鍛え上げる必要があります。
異物・原因物質から身を守る、最強のバリア機能皮フを鍛えるにはスキンケアが必要という内容でした。
まわりくどくスキンケアの重要性をお伝えしました。
アレルギーは遺伝的要素もあり、私達大人はスキンケアしかできないのかもしれないです。
アレルギーマーチを少しでも食い止める為に、保育園看護師として出来ることを考えていくことが大事です。
スキンケアでアレルギーを予防していきましょう。
動画でも解説していますので良かったらご確認ください。今回も読んで頂きありがとうございました。
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