子どもの接種で目にする方以外は、ワクチンについてほとんど知らない人が多いと思います。
僕はほとんど知りませんでした。
こんなにもワクチンの種類があって何回も接種するなんて…
今の健康があるのは親のおかげであることがわかりました。
感謝しないといけないですね。
保育園の感染対策をする上で絶対に外せないのが『保育所における感染症対策ガイドライン 』です。
今回の内容はガイドライン改定後の研修に参加した内容や、最新のワクチン事情を含めた内容になっています。
その中でも特にワクチンについて5つの重要なポイントをお伝えしたます。
この記事を読んだあとのあなたは…
- ワクチン接種が子どもへの最高のプレゼントになる理由がわかります。
- ワクチンの重要なポイント5つについてわかります。
- 2021年時点での最新のワクチン情報(定期接種・間隔など)がわかる。
「保育所における感染症対策ガイドライン 」2018年改訂版
冒頭でもお伝えした、このガイドラインは0〜6歳までの子どもの特性を踏まえた上で作られた感染症対策の基本となるものです。
2018年に改定があり、保育士さん看護師さんなど全職員向けにかなり内容がわかりやすく、バージョンアップしています。
保育園看護師になると看護の先輩やマニュアルが無いことも多いと思います。
そんな中で、国(厚生労働省)が出している信頼できる数少ないガイドラインになっていますので、かなり活用することになります。
【感染対策の大原則】
感染源対策・感染経路対策・感受性対策の3つがあります。
メインの内容は感受性対策になります。
感受性対策=ワクチン接種のことです。
ポイント1 入園前のワクチン
定期予防接種は『保護者が子どもに予防接種を受けさせるよう努める義務』がある。
意外に思われる方も多いと思いますが、ワクチン接種は義務ではないんです。
個人的には、アレルギー等どうしてもワクチン接種できない人以外は必ず接種してあげてほしいです。
特に保育園等は集団生活を行います。
集団感染させると他の園児への健康、その保護者・妊婦さんへの影響があります。
クラス閉鎖や園の一時的な閉鎖で各家庭の仕事や生活にも影響します。
コロナの状況下ではイメージしやすいですね。
重要なポイントが入園前に出来る限りのワクチン接種を済ませることです。
集団生活が始まると確実に体調を崩しやすくなります。
軽微な風邪を繰り返したり、思うようにワクチン接種スケジュールが進まなくなります。
入園前の面談等でしっかり接種状況を確認しスケジュールはどうなっているか確認して下さい。
保護者さんによってはあまり必要性を認識しておらず、ワクチン接種していない人もいるので注意が必要です。
ポイント2 定期予防接種の追加ワクチンを知る
日本はワクチン接種に関して世界的に遅れていると言われています。
政府としても力をいれている途中です。
【2021年9月現在の定期接種ワクチン】10種類
- B型肝炎《不活化ワクチン》
- ヒブ(ヒブ感染症)《不活化ワクチン》
- 小児用肺炎球菌《不活化ワクチン》
- 【四種混合】(DPT-IPV/ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ)、【三種混合】(DPT/ジフテリア、百日咳、破傷風)・ポリオ(小児麻痺)《不活化ワクチン》
- 日本脳炎《不活化ワクチン》
- HPV(ヒトパピローマウイルス)《不活化ワクチン》
- ロタウイルス《飲むワクチン》
- BCG(結核)《生ワクチン》
- MRワクチン(麻しん、風しん)《生ワクチン》
- 水痘(みずぼうそう)《生ワクチン》
ロタウイルスワクチンは、2020年10月〜定期接種となりました。
その他の任意接種も今後定期に変更されるかもしれないので年1回は確認するようにします。
僕の情報源として↓下記サイトが本当にオススメです。
とてもわかりやすく、スケジュール表も園でそのまま使用させて頂いています。
【2021年9月現在の任意接種ワクチン】3種類
- おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
- インフルエンザ
- 髄膜炎菌
- その他:三種混合DPT(入学前)
早く定期接種になるといいですね
少しそれるのですが
RSウイルスを予防するワクチンは現在ありません。
保険適応でリスクの高い基礎疾患を持つ子ども場合に、RSウイルスによる感染症の重症化を予防する注射(シナジス)があります。
効果は1ヶ月間となっており、流行期に毎月接種しなければなりません
ポイント3 ワクチン同時接種と接種間隔の変更点
ワクチン同時接種
定期接種を単独で接種するとなると30回以上病院に行かなければなりません。
スケジュールを組んでいても予定通りにいかないこともあり、負担なく接種を終えることは非常に困難です。
接種が遅れると肝心な感染症の予防ができなかったり、接種忘れも発生します。
そこで子どもと親の負担を減らすために同時接種が行われています。
【結論】同時接種は安全にワクチンを接種することが出来る
多くの疑問点で…
- 体への負担が大きいのでは?
- 免疫がつきにくいのでは?
- 重い病気があるから接種できない?
- ワクチンの組み合わせが心配
- 接種の制限があるでしょ?など
ありますがこれらすべて問題なく接種できるとされています。
1日接種出来る本数の制限もありませんし、ダメな組み合わせもありません
重い病気がある場合、むしろその感染症にかかった時の重症化を心配したほうがよいです。
ワクチン接種により重いアレルギー反応等が出る場合は別です。
ここまで言い切れる1番の根拠は、長い間世界中で使用されて問題が起こってないことが最大の根拠となっています。
論より証拠ですね。
調査では様々な人種で行われていますので、決して海外の事とはならないのです。
万が一重大な副反応が起きたとしても救済措置があるので安心できます。
ワクチン接種間隔
大きな変更点があり、2020年10月から不活化ワクチンと経口(飲むタイプ)生ワクチンの接種間隔には制限がなくなりました。
ここで押さえてほしいポイントは生ワクチンです。
以前から同じで接種後は4週間以上、別のワクチンが接種できません。
その他のワクチンは翌日でも別のワクチンが打てるようになりました。
同じワクチンの間隔はスケジュールに沿って間隔をあけなければいけません。
注意点として病院によっては同時接種を行わない場合もあるので、その時はかかりつけ医を変えるなど検討したほうがよいです。
ポイント4 特に注意したいワクチン
麻しん風しんワクチン
5歳児には2回目の麻疹風疹ワクチンを摂取してもらうよう働きかけることが重要です。
毎年市からも接種を促す手紙が配布されます。
麻疹・水痘は2回目の摂取でかなりの免疫獲得が期待できます。
先天性風しん症など妊婦さんが風しんにかかることで、胎児に起きる悲しい病気を防ぐためにも促しが必要です。
小学校に入るまでに済ませれるよう保健だよりなどを通して伝えています。
これは大人にも言えることですが、2回摂取していない又は不明の人に対し、国が予防接種を強く推奨しています。
保育園で働く職員は他の職業に比べても麻しん風しんにかかるリスクが高いです。
全職員接種出来るよう促す必要があります。
特に妊婦さんになる前やそのパートナーは必ず接種したほうが良いです。
今回の内容で1番伝えたかったのが
国際化の進む将来にワクチンで身を守れるようにしてあげることは、子どもにとってとてつもない財産になります。
- 学級閉鎖で全家庭の予定が変更された。
- 大人でり患すると重症化した。または後遺症が残った。
- ワクチンを接種していないが為に、海外のビジネスチャンスを逃した。
- 生まれて来た子どもに障がいが残った。など
ワクチンを摂取さえすれば起きなかった問題をしっかりと子どものうちに解決してあげる。
ワクチンは無料ですが仕事・家事・育児と大変な中、接種したワクチンは計り知れないプレゼントになります。
ロタウイルスワクチン
ロタウイルスワクチンを接種したら、必ず園に当日か翌日には報告してもらいます。
理由は副反応で腸重積症(腸の中に腸が入り込み最悪の場合、血流障害で壊死してしまう)が出ることがあるためです。
なので園では【機嫌の悪さを繰り返す、激しく泣く、周期的に泣く、嘔吐、お腹の張り、血便など】を1週間は観察し、症状があれば速やかに受診をします。
ポイント5 ワクチン接種後の登園と感染症発生時の対応
接種後の登園
お医者さんでも意見が分かれる接種後の生活については、普段どおり生活して良いと言う先生と1日は安静にしましょうと言う先生がいます。
園のルールで最終的に決める事になると思います。
僕の所では園医さん指示の下、基本的には接種後は保護者のもとで安静に過ごて経過を観察、翌日に登園するとしています。
ただし、やむを得ず接種後に登園する場合は以下の点に注意しています。
- 接種後30分経過していること(アナフィラキシーショックの対応として)
- 登園時の健康状態を保護者と確認する
- 緊急時に備え保護者の連絡先と、接種した医療機関を確認しておく
- その後の観察を丁寧に行い安静に過ごす、変化が見られた場合は保護者に連絡をする。
各園のルールを確かめて下さい。
【観察のポイント/アレルギー症状】
- 皮膚 :かゆみ・むくみ・じんましん・冷汗・蒼白・紅潮
- 呼吸器系:胸痛・咳・呼吸困難・血痰
- 心臓血管系:脈拍が弱い・頻脈・低血圧・不整脈・心停止
- 神経系 :不安・意識障害(反応が鈍い、傾眠 )
- その他 :結膜充血・涙・おう吐・腹痛・失禁 など
アナフィラキシーはアレルギーによって全身性の症状が出ること。
アナフィラキシーショックとは、それにより血圧低下や意識障害を起こすことです。
感染症発生時の対応
準備としてワクチン接種歴のリストを作成し、感染症発生時の初期対応に備えます。
1番良いのはICTなどを活用したネットワーク上でワクチン接種歴を管理すること。
誰が未接種かひと目で分かります。
用紙を使用する場合はクラスごとに分類するとよいです。
空気感染する麻しんや水痘(みずぼうそう)は20分同じ空間を共にするだけで感染する強い感染力のある病です。
免疫がない人は100%感染します。
事前にワクチン未接種者のリストを作成することで、隔離や感染しやすい人の選定にも役立ち、また過度に恐れなくてよくなります。
麻しん・水痘ワクチン未接種者は、72時間以内に緊急的にワクチンを接種することで発症を予防できる可能性があります。
対応としては
- 患者の看護と隔離
- 濃厚接触者の選定(水痘や麻しんは同じ空間で20分が目安)
- ワクチン未接種者の緊急ワクチン投与の段取り
- 感染症が出ていることを保護者に周知する。注意点も伝える。
- 必要時保健所等にも伝えるなど
発症してしまうと本当に大変な事態になることが簡単にイメージできます。
そうならないためにもワクチン接種を日頃から促していきたいですね。
未接種ワクチンの多い0歳児クラスの担当は特に注意が必要です。
百日咳など大人にとってはただの風邪症状でも、乳児にとってはかなりキケンな感染症になります。
咳・クシャミのある職員は0歳クラスの保育を見直すなどの対応が必要です。
実習生を受け入れている場合も同様に注意が必要です。
アクションプラン
園児のワクチン接種者リストができていない場合は作成して下さい。
又は自分のワクチン接種歴を確認し、必要時麻しん風しんワクチンを接種しましょう。
母子手帳を確認することでわかることが多いですが、記録されていない場合も多いです。
親の記憶で接種歴や実際にり患したか曖昧な場合は、接種していないと判断します。
僕の場合3兄妹のため親の記憶が曖昧だったので、保育園看護師になってMRワクチンを自費で受けてきました。
5000〜6000円ぐらいだったと思います。
自分と相手を守るためにもちょっと高いですが是非ワクチン接種チャレンジして下さい。
あとがき
感染症の大原則
【感染症が発生する要因】
- ①感染源(病原体を排出する)
- ②感染経路(病原体が広まる為の通り道)
- ③感受性(人の免疫が弱く、感染した場合に発症すること)
これら3つに対応することで感染を防げます。
保育園では長時間集団で生活する為に、感染症が発生しやすい状況がある上で具体的に見ていきます。
【①感染源対策】
登園を控えてもらう(出席停止)
他の子どもと隔離をする。
問題点:感染していても症状が出ず、病原体を排出している場合がある(不顕性感染)
【②感染経路対策】
飛沫感染:咳・クシャミで病原体が飛び散り(1〜2m範囲)、それを吸い込むことで感染。
対策:咳エチケットで予防
優先順位は①マスク・②ハンカチ使用・③服の袖で口・鼻を覆う(手のひらはダメ)
空気感染:咳・会話等で飛んだ飛沫が乾燥し、病原体が空気中を漂う
対策:患者の隔離と部屋の換気(結核菌・麻疹・水ぼうそうなど)
接触感染:握手・抱っこなどで直接感染またはドアノブ・遊具等に触れて、間接的に感染。
病原体のついた手で、口・鼻・目を触り感染する。
対策:手洗いが効果的。タオルの共有を避ける。タオル同士が触れ合わないことも検討。
傷がある時はガーゼで覆う。
手洗いに付いてはこちらも参照してください。
経口感染:食べ物・水分と一緒に病原体が体内に入ることで感染。
食材の適切な温度管理と十分な加熱。
血液感染:血液を介して傷や粘膜から病原体が侵入し感染。
血液に触れるときは手袋をし、処置後は手洗い・消毒を行う。
問題点:保育園あるあるかもしれませんが、便・尿を扱う時は手袋を皆さんしますが、血液の場合は手袋をしていないことが多いです。
医療現場では血液感染の恐ろしさをよく知っていますが、保育現場では認識が低い傾向があります。
これを改善することが保育園看護師の仕事のうちの1つになりますね。
僕の場合はまずよく怪我が起こる場所や救急セットがある場所にゴム手袋を置くことからはじめました。
今は手袋が高騰していることが問題ですが比較的安いゴム手袋があったのでよかったら園長先生に教えてあげて下さい。
ニトリルゴム手袋でなくビニールゴム手袋となっています。
エンボス手袋とは違い手にしっかりフィットします。
半額程の値段で変えるので、一度試しに購入してからでも良いかもしれません。
媒介感染症:蚊に刺されることで感染。
あまり馴染みがないですが今でも日本脳炎の感染が報告されています。
対策:水溜りを作らない。
最後まで読んで頂き本当にありがとうございました。
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