保育園看護師になりたい人。すでに保育園看護師として楽しい日々を過ごしている人に向けて発信しています。
アレルギーって正直わからない。アレルギーの患者さんとあんまり接したことないし…。そんなお悩みのある方多いと思います。僕自身もそうでした。
しかし保育園ではほぼ100%と言って良いほど、食物アレルギーやぜん息、アトピー性皮膚炎など小児に多い疾患を目の当たりにすると思います。
でも大丈夫です。今回の内容でこのように変わることができます。
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アレルギーで大事な基礎知識がわかります
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アレルギー対応における最重要書類『生活管理指導表』の活用方法がわかって、不必要なアレルギー対応になっていないかがわかるようになります。
ここ15年でアレルギーに対する見識が随分と変わり、保育所におけるアレルギー対応のガイドラインが2019年に改定されました。国をあげて現在正しい知識の普及を進めています。
医師であっても誤った知識のままの人が多いとのことでした。なので今最新の知識をつける事は非常に大きな意味を持ちます。
今回の内容は2021年に厚生労働省主催で行われた研修に参加した内容となっています。
アレルギーとは【IgE抗体】
【IgE抗体】このキーワードについてわかりますか? このIgE抗体については理解しておかなければなりません。
なぜなら子どもの保護者はよく知っているからです。アレルギーの話をしていく上で必要になっていきます。
難しそうなIgE抗体ですが簡単です。『鍵穴』で覚えてください。
【Y】の字になっているのがIgE抗体(鍵穴)です。
アレルギー物質(鍵)が鍵穴にカチッとハマるとアレルギー反応が出ます。(左側図)
一方右側は違う種類のアレルギー物質は鍵が違うので、アレルギー反応は出ません。
もう少し詳しく見ると…
細胞の周りにくっついているのが【IgE抗体】です。黒い■、▲、●(鍵)がIgE抗体と合体しようとしています。
しかし合体できたアレルギー物質(鍵)は▲だけ。鍵と鍵穴が合ってはじめて細胞から化学物質(ヒスタミンなど)が出掛けていき、腫れやかゆみなどのアレルギー症状が出ます。
【IgE抗体】は血液検査で簡単に調べられて〈クラス0〜6〉の7段階評価をします。
アレルギーを確定するデータではなく、アレルギー発症のリスクを表したものです。
生活管理指導表
保育園のアレルギー対応において最重要書類となる生活管理指導表を見ていきます。
出典:保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019改訂版)
生活管理指導表ってどうゆうもの?
- 厚生労働省が使用をアレルギー対応において必須としている用紙
- 保護者が特別な管理が必要と考える場合に提出する(園が提出を求める用紙でない)
- 医師が記載する為診断書と同じ扱い
- アレルギーに関する情報提供書であり指示書ではない
- 園側は生活管理指導表に、全て従う必要はなくできる範囲で行う。また対応を頑張りすぎることで安全が確保できない場合は対応しない。
医師が記入し終え園に提出された時に見るべきポイントをお伝えします。
① 『C.除去食においてより厳しい除去が必要なもの』欄
除去食をする上でかなり厳しい指示が出でいます。アレルギー専門医でも診断することはないか稀。専門医に見てもらうよう促しましょう。
②『C.原因食品・除去根拠』欄
除去根拠が③のIgE抗体等検査結果陽性だけで除去としている場合も同様に専門医受診を促します。
上記2つのポイントに引っ掛かる場合不必要な食物アレルギー除去の指示が出ている可能性があります。
食物アレルギーと診断された子どもが除去食を食べた結果。5割は症状が出ず、4割が症状が出で、1割がアナフィラキシー症状(重篤な症状)が出る結果が出ました。
繰り返しになりますが医師でも誤った診断を出すことは十分に有り得るそうです。それほどアレルギーの診断は難しいのですね。
診断の基本はアレルギー物質を食べて症状が出るか(食物負荷試験陽性)が根拠になります。そこにはリスク管理など専門的な治療が必要になってきます。
※乳児(1歳未満)は実際に食べることができないので、IgE抗体のみで判断されることもあります。
そこで地域のアレルギー専門医が見つかるWEBサイト【アレルギーポータル】で検索できます。専門医を進めることも保育園看護師の役目になります。
ガイドラインの生活管理指導表の様式は参考様式です。
食物アレルギーに限らず、アレルギー性結膜炎などについての参考様式もあります。僕の自治体では食物アレルギーだけの様式を作成して使用しています。
出典:保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019改訂版)
自治体で使用している様式に従います。生活管理指導表を使用していない所もあるようです。現場から大変ですが変更してもらえるよう働きかけないといけないです。
園独自の様式を使用している場合はすぐに変更するよう園長先生に相談していきましょう。
現場の状況
- 1施設の平均アレルギー児は3.6人
- 保育中に新たに食物アレルギーを発症する子どもは全体で0.14%
- 誤食誤配対策できていると答えた施設は約97%
- 誤食誤配の発生率は25.7%(そのほとんどが単純ミスによるヒューマンエラー)
データから見ても保育園におけるアレルギーとの関係は大きいですね。
研修でも大きく言われていたのですが、アレルギー対応は園児や保護者・園の職員みんなの負担になります。精神的なことも含め。
子どもにとって食事の時はもちろん、クッキングの時や遠足でのおやつの交換など色々な場面で制約がかかります。
本当に必要な除去食は絶対に排除しなければなりませんが、不必要な除去食をなくすことで皆んなが良くなります。
僕の好きな言葉で【三方よし】が成立します。
今日からでも1度生活管理指導表を見返してみてください。一人でもアレルギーのない子どもが増えることを願っています。
YouTubeでも同様の内容を説明しています。わかりにくかった場合は動画で確認してほしいです。
読んで頂きありがとうございました。
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